2009年3月8日日曜日

経済とは

 今日ふと「課外授業ようこそ先輩」という番組を見た。ある小学校の有名人OBがその学校で特別授業をするというシンプルな番組である。
 今日の先生役は経済アナリストの森永卓郎氏だった。ボクは別にこの番組を常に見ているわけではない。しかし、この回はとてもよかった。感動すら覚えた。今回、授業は2部構成だった。最初はおもちゃの金を使用した金稼ぎの擬似体験。最初に500円であらかじめ用意された美術道具を買いアートを作る。そしてそれを森永氏が買い取る。その利益で美術道具を買いさらにアートを作りまた売る、といったサイクルでどんどん所持金を増やすというゲームのような授業。ここでの鍵は森永氏が割高に買い取ってバブル状態にすることだ。予想通り子供たちは自分の作品が高値で売れることではしゃぎ、作品を作ることを手段にお金を稼ぐことに躍起になっていた。
 この授業は2日連続なので、お金稼ぎに必死になる子供たちは次の時間に備え力作を用意していた。しかし、森永氏は2日目は授業をしないという。つまり、もうおもちゃのお金もただの紙切れである。これがバブル崩壊だ。ボクは作品を作ることではなくお金を増やすことに必死な子供たちの姿や、お金に価値がなくなったと分かった瞬間の子供たちのキョトンとした表情や、騒然となったクラスを忘れられない。まるで現代社会の縮図のようであった。
 後半は限られたお金をどう使うかという授業。1人500円を渡され、5人1組で最高の思い出を作ろうというものである。お金を使い慣れていない子供たちは班ごとに計画を立てようとするが、500円じゃ何もできないとお手上げ状態だった。子供たちの案の中にはギャンブルで増やしたいだの、ゲーセンに行きたいだの、TDLに行きたいだのというものがあった。当たり前のことだが、金銭感覚が足りないようだ。ある程度節約しなければ生活できないボクとしては、何とも苛々する光景だった。森永氏曰くお金を使う能力は昔に比べると相当落ちたという。確かにボクも小学生だったら、森永氏の幼少時代に比べ陳腐な内容しか思い浮かばなかっただろう。
 でも子供はやはり考えるうちに成長するものである。ある班は30分歩いて渋谷まで行って電車で浅草に行くという。ある班は最寄りの多摩川近辺の駅まで行き、釣りをするという。道具は家まで持ち寄るらしい。ある班はクッキーを作り、それを販売して儲けたお金で皆でレストランに行きたいという。その他諸々、知恵を絞った案が見受けられた。心なしか子供たちが頼もしくなったように見えた。
 森永氏は最後に「お金稼ぎが目的になってはいけない。お金は幸せのための道具だ。今あるお金をどう使うかが大事だ」とまとめた。当たり前のことで、誰もが頭では分かっていることではある。ただこうして映像として見せてくれたNHKと森永氏のおかげで妙な説得力を感じた。

 今あるお金でいかに幸せになるか。これが経済であり経済学の本質であると今日からボク言い切りたい。

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